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バレエ・チアダンス|理学療法士が教えるビールマンが出来るポイント【ご家族向け】

バレエ・チアダンス|理学療法士が教えるビールマンが出来るポイント【ご家族向け】

ダンスやバレエなどの技の一つであるビールマンに関する投稿です。 T-performanceは、静岡県を拠点に訪問・出張型のリハビリ&コンディショニング事業を展開しています。 復職・趣味の再開を目指した保険外リハビリ、身体のメンテナンスやスポーツパフォーマンスの向上を目指したコンディショニングなど お客様一人ひとりに合わせたプログラムをご提供致します。 ここではビールマンに必要な要素などについてご紹介していきます。

1.ビールマンとは

 フィギアスケートやバレエ、チアダンスなどでみられる片脚を後方から頭上に伸ばし、伸ばした脚を手で保持した状態をビールマンポジションと言います。

最近ご来店のお客様より『ビールマンができるようになりたい。』『練習してるけどなかなか安定しない。』 などのお声を多くいただきましたのでビールマンについて書かせていただきます。

ビールマンシリーズは【ご家族向け】と【セラピスト・インストラクター向け】の2段階でそれぞれの目線に合わせて作成していきます。

今回は【ご家族向け】ご家族でご一緒にチェックができる方法やストレッチなどをご紹介していきます。

2.ビールマンに必要な要素は

 ビールマンは一見腰を反る動きが目立ちますが、動作を成立させるために必要な要素は様々あり、ひとつでもバランスが崩れるとポジションが取れなかったり、怪我の原因となってしまいます。 代表的な要素は下記のとおりです。

ビールマンに必要な要素

上記の図でアルファベットのa〜fが伸ばすべき筋肉、①〜④が支持性を高めたい筋肉、⑤〜⑦が動かす(脚を持ち上げる)筋肉になります。

1)柔軟性の獲得【青のa〜f】

〜伸ばすべき筋肉〜

  • a :背中(脊柱、胸郭)
  • b :ももの付け根(腸腰筋)
  • c :もも裏(ハムストリングス)
  • d :ふくらはぎ(下腿三頭筋)
  • e :もも前(大腿四頭筋、特に大腿直筋)
  • f :脛(前脛骨筋)
  •  ビールマンを獲得するためにはそのポーズをとることが出来る身体の柔軟性がとても重要になります。 また成長期の子供の場合、十分なストレッチが行えず筋肉が緊張したままにしておくと可動域を制限するだけでなく、 成長痛を悪化させる要因や怪我のリスクにも繋がるためこまめに伸ばすことをおすすめします。

    2)身体を支える力【黄色の①〜④】

    〜身体を支える筋肉〜

  • ① :腹部(腹腔内圧、特に腹横筋)
  • ② :殿部(中殿筋、小殿筋)
  • ③ :もも裏(ハムストリングス)
  • ④ :ふくらはぎ(下腿三頭筋)
  •  柔軟性を獲得した後は、その状態を維持するための軸足・体幹部の筋力が必要になります。 上記の筋肉はビールマンにて身体を支える土台の役割を担っています。土台が安定しないことでいつも動作がふらつく、持ち上げる脚の位置が毎回ズレるなどの要因となります。 特に腹筋(腹腔内圧)や殿筋群は重心がある腰椎や骨盤帯を安定させる要素が強いためしっかりと機能を高めることが大切です。

    3)動かす(脚を持ち上げる)力 【ピンクの⑤〜⑦】

    〜動かす(持ち上げる)筋肉〜

  • ⑤ :殿部(大殿筋)
  • ⑥ :もも前(大腿四頭筋)
  • ⑦ :ふくらはぎ(下腿三頭筋)
  •  軸足・体幹部の筋力と同等に大事になってくるのが持ち上げる側の筋力です。 脚を持ち上げる大殿筋、膝を伸ばす大腿四頭筋、つま先を伸ばす下腿三頭筋。 一見勢いよく脚を持ち上げるため筋力があまり必要なさそうに見えますが、勢いだけでは出来る時と出来ない時がある動作にムラが出てしまう、 腰椎・股関節に過度なストレスがかかり、怪我の要因となってしまうため安定して脚を持ち上げる機能も高めることが大切です。

    4)ボディーイメージ

     上記の1)〜3)が獲得出来たのになかなか上達しない、持ち上げている足がどの位置にあるかわからない、毎回脚を上げる位置がバラバラといった場合は、ボディーイメージの低下も考えられます。

     ボディーイメージとは脳の中にある自分の身体に対するイメージのことです。 目の前に水たまりなどの障害物がある場合、水たまりを超えるために跨いだり、ジャンプしたりしますよね。 自分自身の身体の大きさや脚の長さ、手足の位置などを把握する力を『身体の地図:身体図式』といい、どのように身体を動かすか、自分にはどの程度の運動機能があるのかを把握する力を『身体機能』といいます。 この『身体の地図』や『身体機能』は触覚・固有受容器・前庭感覚を基に形成され、普段はほとんど認識されることはありませんが、日常生活のあらゆる場面で働いています。

     ボディーイメージの形成は、個人差があり3〜4歳頃から身につき始めると言われていますが、その形成は幼児期にとどまらず、成人まであらゆる体験の相互作用によって形成されます。 つまり日頃の活動量や生活環境に大きく影響されます。

    ビールマン要素②

     このように4つ全ての要素が合わさってビールマンの動きが完成します。 ビールマンの動きが出来ないのは一概に硬さだけが原因とは限りません。 身体の状態をきちんと把握し、体に合ったエクササイズを実施することが怪我の予防やパフォーマンスアップの近道になりますので、ここでは柔軟性や筋力の簡単なチェックポイントをご紹介致します。

    3.ご家族で一緒にチェックできる機能評価

     柔軟性と筋力、ボディーイメージの重要性がわかったところで、問題はどうやって原因を探るかですよね。 今回はご家族さん向けに柔軟性と筋力のチェック方法をご紹介させていただきます。

    1)柔軟性のチェック

    1. 前後開脚
    2. 前後開脚1

       前後開脚はビールマンだけでなく、バレエやチアダンスなどの様々な場面で必要な動きになります。 まずチェックしていただきたいのは、耳・肩・股関節が一直線になるようなポジションを無理なく取れるかどうかです。

      このポジションが取れない場合は、股関節周囲をはじめとする下半身の筋肉の硬さが顕著で『硬さによる制限』が強いためビールマンポジションが取れない可能性が高いためまずはストレッチが必要な状態です。

      前後開脚2

      ※前後開脚は取れるけど、骨盤が捻れる、ちょっと窮屈だなと感じる場合は、部分的な硬さが残存している状態です。

      🔸前に伸ばしている側の骨盤が浮く場合、、、

       主に殿筋群、ハムストリングス、下腿三頭筋(ふくらはぎ)など後面の筋肉の柔軟性低下が要因となっています。 前に脚を伸ばす状態はビールマンでいうと軸足側になるので、ふらつきが大きい方はまずチェックしてみてください。

      🔸後ろに伸ばしている側の骨盤が浮く場合、、、

       主に腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋(すね)など前面の筋肉の柔軟性低下が要因となっています。 後ろに伸ばす状態はビールマンでの持ち上げる側になるので、足が上がりにくいと感じる方はチェックしてみてください。

    3. 猫のポーズ(胸椎レベル)
    4. ストレッチ 猫のポーズ

       背中のしなりには胸椎と腰椎と呼ばれる部分の動きが関与します。 猫のポーズは簡易的に胸椎レベルの動きをチェックすることができます。 日常生活レベルであれば股関節・肩・手首が一直線になることが基準になりますが、バレエやチアダンスなどよりしなやかな動きが必要な場合は、胸が床につくかどうかがポイントになります。 胸椎レベルの可動性が低下すると腰への負担が増えるため腰痛や怪我の原因となってしまいます。そのままストレッチとしても実施できるので是非お試しあれ。

    5. アザラシのポーズ(腰椎レベル)
    6. ストレッチ アザラシのポーズ

       アザラシのポーズは簡易的な腰椎レベルの動きをチェックすることが出来ます。 日常生活レベルであれば肘を伸ばした状態で耳・肩・手首が一直線になることが基準となりますが、バレエやチアダンスの場合は、一直線の状態からさらに痛みなど無理なく反れるかどうかがポイントです。 可能であればアザラシのポーズをしているときに両膝を曲げて足の裏と頭がくっつくくらい反れるといいですね。

    2)身体を支える力、動かす(脚を上げる)筋肉

    1. T字バランス
    2. T字バランス

       T字バランスは簡易的に支えている脚、持ち上げている脚の筋力(特にお尻の筋力)をチェックすることが出来ます。 耳からつま先までが一直線もしくは上図のように脚がラインより上に上がった状態のまま1分間キープ出来ますか?出てくる身体の反応によって鍛えていきたい筋力のポイントも変わります。

      🔸ふらついてキープ出来ない。

       軸足になる殿筋、ハムストリングス(もも裏)、ふくらはぎの筋肉が上手く使えていません。

      🔸キープは出来るが持ち上げている脚が段々と下がってくる

      持ち上げている側の殿筋、大腿四頭筋(もも前)、ふくらはぎの筋肉が上手く使えていません。

    軸足や持ち上げる脚の筋力が弱い状態のままでビールマンの動作を続けていると、バランスを崩したり、腰の反りが強くなってしまい、腰痛や怪我の原因となってしまいます。

    T字バランスはトレーニングにもなりますので、右脚でビールマンポジションをとる方は右足を持ち上げて、左脚の方は左脚を持ち上げて優先順位をつけて実施してみましょう。 最終的には両方とも同じように安定してくると身体のバランスがさらに整うので是非チャレンジしてみてください。

    4.エクササイズのご紹介

    1)ストレッチ

     ストレッチには動的ストレッチや静的ストレッチなど様々な種類がありますが、今回は可動域を広げることを目的とした静的ストレッチをご紹介します。

    【動的ストレッチ】

    〜メリット〜

  • 心拍数が上がり血流が増え、体温も上がるので、運動前に心臓も筋肉も準備できる。
  • ただ単に関節の可動域が広がるだけでなく、体温が上がって筋肉も柔らかくなるので、力が入りやすく、動きも滑らかになりケガの予防にもなる。
  • 〜デメリット〜

  • 心拍数を上げ興奮させてしまうので、スポーツ後や就寝前には不向き
  • 【静的ストレッチ】

    〜メリット〜

  • 継続的に行なえば身体の柔軟性を維持したり、向上させることができる
  • 心拍数を落ち着かせ、リラックス効果があるのでスポーツ後や就寝前にやるのが最適
  • 〜デメリット〜

  • 体温や筋肉の温度が十分に上がらないので競技前には不向き
  • 競技直前に入念に行うと安定性に欠けたり、筋力が出しにくくなったり逆にパフォーマンスが下がることもある。
  • a :背中(脊柱、胸郭)

    広背筋ストレッチ 広背筋ストレッチ CAT&DOGエクササイズ

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    b :ももの付け根(腸腰筋)

    腸腰筋ストレッチ 腸腰筋ストレッチ

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    c :もも裏(ハムストリングス)

    もも裏ストレッチ もも裏ストレッチ もも裏ストレッチ

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    d :ふくらはぎ(下腿三頭筋)

    ふくらはぎストレッチ ふくらはぎストレッチ

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    e :もも前(大腿四頭筋、特に大腿直筋)

    もも前ストレッチ

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    2)トレーニング

     ビールマンの動きを模したトレーニングも必要ですが、身体をバランスよく使えるようにする場合は『四つ這い』でのエクササイズがおすすめです。 四つ這いの運動は土台を安定させた状態で軸足と持ち上げる下半身の筋力を同時に鍛えることが出来るためゆっくりと。

     中学生ごろまでのお子様に関しては過度な筋力トレーニングをしてしまうと、成長を妨げてしまうためここでのトレーニングは”使えるようにする”がテーマです。 下記にも詳細載せていますのでぜひ確認してみてください。

    殿部トレーニング【四つ這い位】

    ※四つ這いで腰の反っている感じが強い場合は下記の【臥位】エクササイズがおすすめです。

    殿部トレーニング【臥位】

    ※競技レベルで実施されている方は、適度な柔らかさと適度な筋力のバランスが必要ですので、ストレッチを実施しながら【立位】エクササイズを参考にしてください。 ただし大会前や就寝前の急激な負荷は、疲労の蓄積により逆にパフォーマンスが落ちてしまいますので、無理のない範囲で実施しましょう。

    殿部トレーニング【立位】

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